【勉強法・かかる年数】アクチュアリー試験の特徴【1次試験・2次試験】

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アクチュアリー試験って、どうやって対策すればいいの?

そもそも、アクチュアリー試験ってどんな試験なの?

社会人として働きながら、アクチュアリー試験に合格したい!必要な時間や勉強は?

そんなお悩みを解決する記事です。

この記事でわかること

・アクチュアリー試験がどんな試験なのかわかる

・アクチュアリー試験の勉強にかかる時間がわかる

・どんな科目があるのかわかる

あまり情報の出回っていない、アクチュアリー試験について説明していきます。

この記事では、あくまで1次試験自体の説明になるので、対策法を知りたい人は以下の記事を参照してください。

また、大学生と大学院生は就活対策を優先したほうがトータルのコスパが良いです。MAXITでは、アクチュアリー就活に特化した講座を開講しています。無料で体験講義が受けられるので、受講を検討してみてください!

ではさっそく、説明に入っていきましょう!

アクチュアリー試験の概要

アクチュアリーになるためにはどんな試験を乗り越えればよいのでしょうか。

まずは試験の概要を見てみましょう。

アクチュアリー資格試験とは、公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する資格試験です。日本において「アクチュアリー」と名乗る人は、一般的にこの資格試験に合格し、「正会員」として登録している人のことを指します。資格取得者はアクチュアリーと呼ばれ、主な活躍の場は金融機関やコンサルティング会社など。命保険や損害保険といった金融分野で数理業務を行います。

試験は年に1回、12月に実施されます。第1次試験と第2次試験があり、第1次試験の基礎的な5科目(数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論)に合格すると、まず「準会員」になることができます。

そのうえで、より専門知識を問われる第2次試験(生保コース、損保コース、年金コースのいずれかを選択。それぞれ2科目)すべてに合格することで、ようやく「正会員」になれます。

この試験は非常に難易度が高いことで知られており、すべての科目に合格するまでには平均で8年程度、中には10年程度かかる人もいるようです。5年で達成できれば相当早い部類に入るといわれます。平均合格率が15〜20%の超難関資格となっています。

ちなみに、試験合格後はプロフェッショナリズム研修を受ける必要があります。研修を修了すれば、資格取得者として認定され「アクチュアリー」と名乗れるようになります。

【プロフェッショナリズム研修とは】

資格試験すべてに合格し正会員になろうとしている会員を対象とした講座。平成17年度以降、プロフェッショナリズム研修の受講が正会員資格取得の要件となっています。研修内容は、IAA教育シラバスや行動規範、生保・損保・年金のプロフェッショナリズムなどを1日かけて学びます。

アクチュアリー試験では、金融分野で最大限に活用するために必要な数学分野に関する知識が問われます。1次試験で出題されるのは、確率や統計を利用した計算問題。2次試験は記述式で、業務関連法規や実務関連の知識を問われる問題が出題されます。1次・2次試験ともに、全科目の合格基準点は60点です。

多くの人は生命保険会社や信託銀行等で、アクチュアリーに関連する業務に携わりながら合格を目指しますが、強い意志と努力がなければ資格取得は難しいでしょう。

アクチュアリー試験の合格率

平成23年度試験科目別合格率は、以下の通りです。

第1次試験の合格率は10-20%だが、ブレがある

・数学:11.1%

・生保数理:12.6%

・損保数理:10.5

・年金数理:8.1%

・会計・経済・投資理論:20.5%

第2次試験の合格率は10-20%であり、1次を通っていても難関

・生保1:12.0%

・生保2:22.0%

・損保1:10.8%

・損保2:12.4%

・年金1:9.7%

・年金2:10.9%

一概にはいえませんが、年によって科目ごとの合格率は変動があり、合格率が極端に低かった翌年はやや易化される傾向が見られるようです。受験生の大半が専門的な勉強を続けていてこのような数字ですから、いかに難しい内容かがわかるはずです。

数値的に見てもわかるように、難関資格です。試験科目もかなり多く、1次試験だけで5科目、さらに2次試験の突破も求められます。1次試験に受かるだけで「準会員」といわれますが、「正会員」になるにはさらなるハードルを超える必要があるのです。しかしそれを乗り越えれば、一生役立つ「専門性」が身につくのです。

1次試験の概要

1次試験についてもう少し詳しく見てみましょう。

前述の通り、アクチュアリー1次試験の合格率は非常に低いものになっています。ここで注意して欲しいのは、これがそのまま難易度にはつながらないこと。たとえば、数学は「お試し受験組」が多いので、本気で受けている人の中での合格率はもう少し高めです。アクチュアリーを目指すあなたにはいらない説明かもしれませんが、一応補足でした。

とはいえ、やはり試験が難しいことには変わりありません。以下では、アクチュアリー試験の難易度が高い理由や勉強にかかる時間など、より詳細な情報をお伝えします。

アクチュアリー試験の難易度が高い理由

アクチュアリー試験の難易度が高いのにはしっかりと理由があります。

高度な数学が求められる

アクチュアリー試験では、高校理系~大学初等レベルの数学が求められます。人によって、得意不得意が大きく分かれるのが特徴です。実際、アクチュアリー試験受験者の多くが理系学部出身者です。(もちろん、理系学部でないと受からないことはありませんのでご安心ください!)

二次試験は実務経験が必要

実際に業務をしないとわからないような内容も多いため、難易度が高くなっています。仕事との両立に苦しむ人も多いです。

アクチュアリーになるには、根気強く勉強し続ける忍耐力と諦めない気持ちが大切です。

勉強にかかる時間

トータルで1000時間程度と言われています。現在の知識内容によって変動はありますが、だいたいその程度を予想しておきましょう。年間の学習プランを計画する上でも、1科目あたり最低200時間は見積もる必要があります。

たとえば毎日2時間の勉強であれば、1科目あたり3~4か月程度です。会社員の方であれば、会社終わりにほぼ毎日勉強時間を取って、やっと達成できるイメージでしょう。これが、学生時代に科目取得しておくことをよく推奨される理由です。

受験資格

受験資格は、2023年に変わったのでご注意ください。以下、公式HPからの引用です。

引用元:https://www.actuaries.jp/examin/info.html

受けられる年齢が引き下げられました。これまでは大学3年生以上が受けられる資格でしたが、これからは大学に入った瞬間には受けられます。この変化により、就活段階で科目持ちの人がさらに増えることが予想されます。

年に1度の試験なので、12月に向けてみんな本気で頑張ります。

受験者層のイメージ

受験資格を持つ層は広いのですが、実際に受験する層には一定の偏りがあります。

生命保険会社や損害保険会社、信託銀行などに就職して「アクチュアリー候補」として職務経験を重ねつつ資格の勉強も同時進行する人がほとんどです。アクチュアリー候補として入社するのは容易でなく、非常に高い倍率になります。

就職試験では数学的思考を試す問題が出題されます。このような傾向から厳しい選考を勝ち抜くのは東大・京大・早慶をはじめとする一流大学出身者が多くなっています。アクチュアリー候補を目指す人は高学歴同士の戦いになることを覚悟しておく必要があります。アクチュアリーとして活躍する以上、その程度の数学力が必要になることを覚悟しておきましょう。

ボリューム層としては、20代〜30代の金融系社会人、といったところです。近年は、アクチュアリー志望の学生からの人気が高まっています。ただし、大学時代にアクチュアリー正会員になる人は極めて稀です。資格の取得自体は、社会人になってからがほとんどです。

多くの受験生は会社に勤める傍、仕事の合間を縫って勉強をしている社会人です。やはり学生に比べると時間が割けないため、一年に1科目が限界であることが多い印象です。これも平均取得年数が異様に長い要因の一つだとおもわれます。ただ二次試験は実務経験がないと合格が厳しいため、実際に数理業務に携わって経験を積んだ社会人のほが有利になります。

まとめると、今の時代においては、学生や若手社会人のうちから準会員を目指して勉強をして、10年程度かけて正会員取得を目指すといったイメージです。

合格までにかける年数

5〜10年で準会員、さらに5〜10年かけて正会員になる人が多いようです。近年は合格までにかける年数は減少傾向にあり、学生で準会員になる人も出始めています。

はやい人は一気に1年で準会員に達する猛者もいますが、かなり稀です。

勉強する順序

アクチュアリーの一次試験は全部で5科目あります。

数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論

です。

アクチュアリー 試験の受験を決めた直後に悩むのが「どの科目から受験するか」です。そこで、一次試験のオススメの受験の順番を紹介します。アクチュアリー 一次試験で最初に受けるべき科目は「数学」です。「数学」は基礎であり、ここを疎かにすると他の科目(特に「損保数理」)の学習の効率が悪くなります。

今後に効いてくる分野である上に、他の科目の知識を数学に使うことはあまりないので、まずは数学を受けるのが定石です。また、「数学」の合格のためには、最低限の高校数学の理解が必須です。ですので、記憶があるうちに受験した方が良いでしょう。

また、特に文系の人にとって「数学」は他の4科目よりも難しく感じることでしょう。その意味で、今後本当にアクチュアリーを目指すべきかどうか決めるために数学は試金石として活用できると思います。

「数学」合格後に受けるべきは「会計・経済・投資理論(KKT)」です。これは「KKT」が「数学」と反対に位置する科目だからです。

数学:新しくインプットする量は少ない、一方で計算量は多い

KKT:新しくインプットする量が多い、一方で計算量は少ない 

数学系の人は、このKKTで苦労する人も多いと思います。KKTは、数学系の人にとってアクチュアリーへの試金石になるのです。文系と理系、両方のスキルがないとなることができない選ばれた職業こそがアクチュアリーなのです。

その後は、生保数理か損保数理好きな方を受けましょう。ここはどちらでも大丈夫です。ただし、年金数理だけは生保の後で受けましょう。生保数理に合格していない状態では、年金数理の教科書を理解することができません。

ここまで説明してきましたが、絶対に受験の順序が決まっているのは年金数理だけです。年金数理は生保の後で、とだけ意識しておけば、興味を持った科目から受けてみるのもありかな、と思います。

複数科目の同時受験について補足します。

「一年に1科目づつではなく、複数科目合格したい!」

その気持ち、よく分かります。しかし 、特に初受験では、複数科目の受験は避けた方が良いでしょう。

なぜなら、多くの人にとって、無謀だからです。複数の科目を受験してしまうと、1科目ずつに時間を配分することができなくなってしまい、辛くなってしまいます。初年度はあくまで数学だけ、同時受験するにしてもKKTくらいにするのがオススメです。

ただ、科目ごと、年ごとに難易度の波もあるので、自分のスケジュールと相談して色々受けてみるのもありです。勉強しすぎてそれ以外の活動をできずに、結果として就活のガクチカがなくなると、生涯収入の期待値が下がってしまうので注意です。大事なのはバランスです。

国際的にみたときの日本のアクチュアリー試験

アクチュアリー試験は、日本だけの試験ではありません。

むしろ、海外のほうがメジャーな資格です。たとえば、SOA(Society of Actuaries)という資格があります。これは、米国アクチュアリー会試験です。

国際的に活躍するアクチュアリーを目指される方であれば、日本アクチュアリー会の資格に加えて、米国アクチュアリー会(SOA)の資格を取得することも有益となるでしょう。

海外のアクチュアリーは、日本よりも業務の幅がかなり広いです。また、日本よりも海外のほうがアカデミアの地位が高いので、学問的な仕事がしやすいともいえます。海外アクチュアリーの働き方の分類については、以下の記事をご覧ください。

アクチュアリーには、様々な可能性があることがわかると思います。

まとめ

アクチュアリー試験の全体像がつかめたでしょうか。

アクチュアリーは、とてもやりがいのある仕事です。しっかりと手順を守って勉強していけば合格できる試験なので、情報収集をしながら着実に勉強を進めていきましょう!

もし困ったことがあれば、アクチュアリー試験講座にてしっかりサポートいたします。

また、アクチュアリー就活は試験とは全く違った対策が必要になってきます。こちらも、講座を開講しているので、大学生と大学院生の方は見てみてください!