海外のアクチュアリーの働き方は?日本との比較も

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この記事では、海外のアクチュアリーの働き方を紹介した動画を参照して、グローバルに働くためのヒントを抽出します。また、日本のアクチュアリーとの比較をします。

動画

以下の動画の情報をもとにしています。海外の現役のアクチュアリーYouTuberであるMJさんが語っています。英語ですが、興味のある人はぜひ見てみてください!(8typesとありますが、便宜上この記事ではさらに細かくカテゴライズしています)

アクチュアリー全般に必要な能力

まず、アクチュアリー全般に必要な能力として以下の能力をあげています。

  • 金融数学
  • 企業会計
  • 統計学
  • モデル構築
  • 人生設計
  • 経済学
  • コミュニケーション
  • 職業倫理
  • リスク分析

日本で重要といわれるスキルと、さほど変わりはありませんね。(モデル構築は、あまり日本では出てこないかもしれません。機械学習が海外のアクのカリキュラムに含まれたことを考えると、今後のトレンドになりうるかも?)

古典的アクチュアリー

古典的なアクチュアリーの働き方を解説します。

生保アクチュアリー

動画内では、生保アクチュアリーが2種類に分けられています。命に関わる保険と、病気に関わる保険です。

ライフアクチュアリー

ライフアクチュアリーは、生命保険や養老保険を含め、さまざま保険に加入する際、保険料を計算し、死亡時期を予測するという非常に大きな役割があります。多くの企業がこのライフアクチュアリーを雇用しています。

南アフリカの相互会社、オールドミューチュアルがその例です。全ての会社が必ずしも利益を得るためにあるわけではなく、相互会社が民間企業になって利益を求めるようになったのは、ごく最近のことで、これがオールドミューチュアルという名前がつけられた理由の一つです。

ヘルスアクチュアリー

病気になったとき、その治療費の計算や、入院期間の計算、また退院して元気に過ごせるまでにどうしたら良いかなど、重要な要素を割り出します。ディスカバリー社のように、医療運用で活躍する企業があります。

損保アクチュアリー

英語では、「ジェネラルアクチュアリー」といわれます。

ジェネラルアクチュアリーは、生保以外のすべてのリスク管理を行うことだと定義されています。自動車保険、住宅保険、運送保険など、生命保険以外の多くの一般保険を扱っているので、一般的という意味合いから、ジェネラルアクチュアリーと呼ぶようになりました。一般的なことを理解するためにも、船舶や自動車産業についても学ばなければいけません。つまり、他分野の専門性とのかけあわせが効いてくる分野なのですね。

ジェネラルアクチュアリーは複数のクレームを取り扱い、また取り扱うクレーム金額も幅広いので、そういった意味ではやりがいがあるでしょう。例えば死亡して、給付金が支払われるとしましょう。運転していてポールに突っ込んだり、ほかの車にぶつかったりと、自動車事故の場合は多かれ少なかれ、車に傷がつくので、二重のリスクがあり、その場合、ジェネラルアクチュアリーの仕事にもなります。

よって、ジェネラルアクチュアリーの場合は、数学的により短期的でありますが、ライフアクチュアリーの場合は、より長期的であることが言えます。

これは、日本においても当然同じです。「生保と損保の違いは?」と聞かれたら、扱うスパンの長さです、と多くのアクチュアリーは答えます。(扱う対象から派生して、その他にも多くの違いがあります)

サントムという会社のロゴを見ると、傘のように見えますよね。

この傘は一般的にジェネラルアクチュアリーを表すものとされていて、傘が雨から我々を守ってくれるように、ジェネラルアクチュアリーも傘のように我々を守ってくれるという意味から、この傘がイメージされるようになりました。

つまり保険がリスクから我々を守ってくれるということです。

年金アクチュアリー

ペンションアクチュアリーはアレクサンダーやフォーブスといった会社でよく働いていて、経済的安定を保証するものです。

毎月の投資額や貯金額を決めてくれて、たとえば60歳か65歳で引退したい場合、その時の生活費はいくらになるかなどを算出してくれます。インフレや数多くあるルールを考慮しながら投資を行うので、非常に難しい仕事です。

業界では給付等積立金や確定拠出基金に関して以前大きな見直しがあり、現在は確定拠出のみを行っています。年金アクチュアリーはかなり特殊な分野であるのは、日本でも海外でも変わりません。

金融アクチュアリー

ファイナンシャルアクチュアリーと言われます。

債券市場を見ながら株式市場を扱うアクチュアリーで、基本的な投資に関しては不動産市場も含まれており、それぞれの市場をいつも調査しています。

リターンを最大化し、リスクを最小化しようと努めており、多様化する社会で、いろいろと対応していく必要があります。

このように、金融業界で働く場合は、アクチュアリーである必要はなく、要するに、経済に関する学位を持っている人なら誰でもできるということです。会計士や他の金融関係者がアクチュアリーとして働くこともできます。

別の視点から見るだけで、金融アクチュアリーは負債やリスクに対してもっと大きな視野で見ることができます。そしてその他にもメリットがあり、金融アクチュアリーは自身で決定するわけではなく、部分的にその決定に関わっているということです。

リスクの専門家として、保険数理士以外のやり方で組織に貢献できることがわかりますね。

コロネーションという会社があるのですが、実際にはアクチュアリーという役割で雇用するわけではなく、保険数理学的なアクチュアリーの専門知識をもつ人を好んで雇用する会社もあります。

銀行アクチュアリー

バンクアクチュアリーといわれます。

バンクアクチュアリーは預金を持っている期間など銀行顧客の情報を管理し、ローンの計算などを行います。また投資銀行でも働く人もいます。

バンクアクチュアリーは高給取りと言われていますが、おそらく仕事上のストレスが最も多いからだとMJさんは述べています。これがバンクアクチュアリーについてでした。

ちなみに映画『ウルフオブウォールストリート』を見てみると、金融界のすさまじさが垣間見られます。(彼はアクチュアリーでなく証券の営業マンですが)

バンクアクチュアリーの激務度合いは、そういった雰囲気が好きな人には向くかもしれません。

新しいタイプのアクチュアリー

最近出てきたアクチュアリーの働き方を解説します。

どういった会社があるのかは詳しく把握していないので、今ここで会社名をあげることはできませんが、ウェブサイトを通じてその新しいアクチュアリーについて調べると、どんな会社で働いているか、おそらくコンサルタント会社または一般的な会社だと思いますが、色々と情報が得られると思います。

日本とは異なる働き方をする人が多い分野でもあります。

エンタープライズリスクアクチュアリー

このエンタープライズリスクアクチュアリーは、リスク管理における定性・定量という観点から、ビジネスに影響を与える複雑な財務課題に関して、自信を持って決めてくれます。

アクチュアリーに関する新聞などを読むと、このエンタープライズリスクアクチュアリーの話題が最もポップです。この新しいアクチュアリーは一般的なものとは異なり、成長段階にある子供のようなアクチュアリーです。(日本でも、第n世代のアクチュアリーという言葉が使われますね)

まだ新しいため、あまり世間に知られていませんが、他にもたくさんこう言った新しいアクチュアリーがでてくるでしょう。こういったこともあり、以下で説明するアクチュアリーがかなり広範囲にわたります。

そして以下は、日本ではまだメジャーではありませんが、今後新しい働き方としてメジャーになるかもしれません。

ウェルネスアクチュアリー

まずはウェルネスアクチュアリーがあります。

コレステロール、血糖値、食事や食事制限など、あらゆる種類のものを調べるアメリカの会社で、MJさんは過去に働いたことがあります。

従業員の福利厚生と連携しており、この観点がウェルネスアクチュアリーみたいで、また一種のペンションアクチュアリーでもあったようです。少しの間しか働かなかったようですが、健康維持を試みている面白い会社だったとのこと。

いわゆる「ビッグデータ」を扱えることを期待しての雇用だったのでしょう。

ゲームアクチュアリー

そしてMJさんが面接に行ったゲームアクチュアリーがあります。

プレイステーションやXboxなどの会社で、面白いゲームを作りたいと面接にはとてもワクワクして行ったとのこと。ゲームの多くはランダム性と確率を必要とするため、やりがちのある素晴らしい仕事です。これは、とても楽しそうですよね。

ただ、MJさんが面接に行って聞かれたことは、ギャンブルやカジノについてで、どれくらいゲームやスロットをするか、またどれくらいのお金を使うかなどを聞かれたのです。とても興味深いのは、損害保険の理論、特に破滅の理論からは多くのことを学べるということで、具体的には、どうしたらプレーヤーが一度にすべてのお金を使い込まずに、少しずつ切り離していけるかを考えるようです

残念ながら、MJさんはその仕事は断りしました。

プログラミングアクチュアリー

その代わりに、MJさんはプログラミングアクチュアリーとして働いています。

小さなスタートアップ企業ですが、世界中の生命保険会社、特にアフリカ向けのデータベースと管理サービスを行っています。そして、この仕事の面白いところは、ビジネス以外にも、アクチュアリーの要素を理解している必要があるということです。

ポリシーが失効した場合など、プログラマールールのように復元させなければならず、その場合の待機期間は12か月延長されるので、お分かりの通り、プログラミング前にアクチュアリーの専門用語を知っておく必要があります。

そして、基本的にはノートパソコンのボタンを押すだけ、MJさんはこの仕事が大好きで、充実した日々を過ごしているとのこと。

アクチュアリー×プログラミングという働き方は、日本でも近年メジャーになりつつあります。(特にR,Pythonなどは研修でも課されることがあるようです)

まとめ

単にアクチュアリーと言っても仕事はたくさんあって、アクチュアリーとしてやるべきことが多技にわたるので、とても面白い仕事です。アクチュアリーの勉強はとても難しいですが、この資格を取得すると、就職にとても有利になり、さまざまな産業でも活躍できます。

海外のアクチュアリーの発信を理解していくことで、グローバルな働き方や、まだ見ぬ可能性に触れることができますね。グローバルに活躍するために、アクチュアリーの海外での様子もウォッチしておくのも良いかもしれません!