「文系からアクチュアリーにはなれない?」
「理系院卒でないと厳しいのではないか」
そういったご質問をよくいただくので、回答します。
アクチュアリーは理数系のイメージが強く、高度な数学を用いる数理のスペシャリストです。理系出身の方、数学が得意な方が多く資格を取得しています。
そのため、アクチュアリーは文系でもなれるのか疑問に思われる方もいます。
結論から言うと、文系からでもアクチュアリーになることは可能です。
文系の方は、試験勉強やアクチュアリーの仕事で得意分野を活かせるからです。実際に、文系に進んでいる方、文系の職種の方も、アクチュアリーの資格を取得して仕事をされている方が大勢おられます。
この記事では、アクチュアリーに文系の方がなるための参考になる点をお伝えします。なお、この記事では試験勉強を中心に説明しています。就活についての情報は、以下の記事を参照してください。
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文系からでも、アクチュアリーを目指すことは十分可能です。
アクチュアリーの試験は文系出身も受けられる
ご存知かと思いますがアクチュアリーの受験資格を持つのは、理数系に進んだ人に限られるわけではありません。アクチュアリーの試験を受ける資格は、大学を卒業した方、または大学卒業と同等の学力を有する方、あるいは62単位以上習得した大学3年生も受験可能です。大学を卒業していない方は、保険・年金などの仕事に3年以上携わると受験資格が得られます。文系に進んだ方も、文系出身で就職された方も、アクチュアリーの試験を受けられます。なので、制度上は全く差がありません。この前提で、どんな不利な点があるのか、どのように乗り越えられるのかを以下で解説していきます。
文系の不利な点
なんと言っても、数学の勉強を大学で扱っていないことが不利です。もっというと、受験の時点でも数学ⅢCをやっていなかったので、人によっては高校数学から始めることになります。ここで、勉強におけるディスアトバンテージがあります。
アクチュアリー試験の数学では、数学ⅢCで扱うような微積などの計算が普通に用いられています。なので、統計学の知識があるにも関わらず計算ができずに得点できないということが起こり得ます。これは理系に比べて、間違いなく不利でしょう。
文系は何に気をつけて対策すべき?
文系からアクチュアリーを目指すのなら、まず基礎レベルの数学をやっておくことが大事です。
高校数学であれば青チャートレベルをまず完成させた後で、大学数学は基礎的な問題集をこなせるレベルにしておきましょう。就活における企業別の数理試験から逆算すると、微積や線形代数、統計学においては大学院入試を突破できるレベルで身につけるのが理想です。
文系からアクチュアリーを目指すのなら、理系以上に多くの情報と、入念な計画が必要になります。
転職の場合:文系からの転職も可能
文系出身で就職した方も、アクチュアリーに興味があるなら、今までの経歴で経験してきたこと、例えば論理的な思考やコミュニケーション能力を、アクチュアリーの仕事で活かすことができます。
以前の職種が異なっていても、営業職からの転職など背景は様々で、それぞれの得意分野を発揮して活躍しています。英語が得意な方は、グローバルな情報(文献やデータなど)に通じていることが役立つケースもあり、高く評価されます。
試験を受ける前に、確実に知識を増やすことができるため、保険会社などに就職して勉強しながら資格を取得する方もいます。
このように、文系出身でもアクチュアリーの資格を取得し、仕事に就いている方は大勢います。理系出身の方が多い中で、文系の方の得意分野は強みとなります。
アクチュアリー専門塾MAXITでも、文系の生徒が新卒でのアクチュアリー内定を獲得しました。以下、内定者インタビューです。
アクチュアリーの勉強科目と教科書
アクチュアリーの試験対策は、確率や統計・モデリングの数学が中心です。アクチュアリーのホームページに掲載されている、アクチュアリー会発行や推奨の教科書と参考書、過去問で勉強できます。
試験には、アクチュアリー推奨の教科書から出題されることが多いですが、問題によっては教科書に掲載されている部分が少ないこともありますので、アクチュアリーの試験対策用の参考書も出版されています。
(「数学」の確率なら、教科書は『入門数理統計学』ホーエル.P.G (培風館)、演習書は『確率統計演習1 確率』国沢清典編(培風館)というように、全科目の教科書、参考書が掲載されています)。
第1試験は、「数学」、「生保数理」、「損保数理」、「年金数理」、「会計・経済・投資理論」の5科目です。
第2試験は、「生保コースの生保1、生保2」、「損保コースの損保1、損保2」、「年金コースの年金1、年金2」から1コースの2科目を選択できます。
第1試験の1科目に合格すると「研究員」、5科目を合格すると「準会員」になります。
全7科目に合格するまでには平均8年程かかります。全科目の取得後は、アクチュアリーの「正会員」です。
1科目の勉強時間は、平均200時間ほどと言われています。テキストを読み、公式や記号を覚える必要があります。公式を覚えたら、応用問題も解いていくことができます。そのために、過去問を解いて理解を深めていきます。
アクチュアリーの勉強方法
テキストは、読んでから過去問を解いてみます。解説があるので、解答方法をより理解できるからです。特に、テキストには少しの部分だけの内容でも、過去問の解説や参考書で理解を深められます。
過去問を解いていくと、出題頻度の高い問題が把握できます。また、数字が異なっていてパターンが似ている問題を解けるようになれます。
過去問は、少なくても10年分は解いている方が多く、20年~30年分を解く方も少なくありません。
過去問を解く量が、試験の点差を左右する場合があります。過去問を解いているうちに、テキストと似ている問題や、出題頻度の高い問題を多く解いていけます。過去問は本番に差が出る重要な試験対策ですので、できるだけ多く問題を解いておくことをお勧めします。
文系の勉強法の強み
アクチュアリーの勉強方法ですが、文系の方はご自分の得意な方法で行えます。
例えば、暗記が得意かもしれません。数学の記号、数式を覚えるのに、暗記力を発揮できます。数学の記号、特にアクチュアリーの記号は特有で似たものもあるため、早めに覚える必要があります。記号を覚えると、その記号を使ってアクチュアリーの数式を使うことができます。知識を積み重ねることは、試験勉強の後も継続していく必要があります。
さらに、文系の方は論理的思考が得意分野です。数学の思考も、論理的思考と言えます。
数学は計算と異なり、思考を働かせる必要があります。その時使うのが論理的思考です。特に、複雑な数式は論理を駆使して解答が出るまで解いていきます。
アクチュアリーの試験では、高度な数学が出題されますが、文系の方は得意な暗記と論理的思考を用いた勉強方法を強みとできます。
文系と理系の両方に必要な調整
アクチュアリーの試験勉強は、長期間になります。継続していくためには、モチベーションを維持し、勉強時間を確保することが必要です。
モチベーションをアップさせるため、合格という目標に向けた強い意志を持ち、アクチュアリーの仕事や勉強に対する関心を維持します。
勉強時間の確保は、忙しい生活の中でもスケジュール管理をして調整できます。まとめて時間を取れない時は、短い時間でも勉強を重ねておくと、次回の勉強が捗るかもしれません。
テキストを読んでインプットしたなら、問題を解いてアウトプットします。試験で時間内に問題を解き終えられるよう、時間を計りながら過去問などを解いてみましょう。採点を確認し、今どの段階にいるのか確かめられます。また、解説を読んで、理解を深められます。
試験勉強の努力は、継続することが難しく感じる時があるかもしれません。
アクチュアリーのホームページを見ると、資格を取得した先輩達が、諦めなかった結果合格へ繋がったこと、また、モチベーションを維持し努力した経験が現在でも身に着いているということも掲載されています。
モチベーションを維持したいときは、先輩方の声を見てみることもお勧めします。
アクチュアリーの仕事で行う数学とは
試験勉強では、確率・統計・モデリングを勉強します。
そのうちの1つは統計学です。アクチュアリーは、保険会社で毎月の掛け金と保険会社の商品販売のバランスを取るため、統計学を利用して金額を決定します。1名のお客様のために、長期を想定したかなりの量のデータから統計学が使われています。お客様の将来のリスクと保険会社の運営をデータから計算し、バランスを保った商品が提供されます。
このように、保険会社では、確率と統計学を主に用いて、資料からデータを分析し、保険料の掛け金を算出するのがアクチュアリーの仕事です。
他の場でも、年金、企業、官公庁、コンサルティングとして仕事をすることがあります。
アクチュアリー職の特徴は、以下の動画でも解説されています。
アクチュアリーは、適切な金額を算出する数理の専門家です。ただ、企業によってやることは様々。大事なのは、それぞれの企業で何が求められるのかを知り、自分の希望に合った会社に就職すること。MAXITの講座では、膨大なデータベースに基づき、業界分析をサポートします。
アクチュアリーに求められること
アクチュアリーは、主に保険会社等で掛け金などの金額を決定しますが、他にも信託銀行での年金や決算報告書等の書類作成、またコンサルティング業務などを行います。さらに、企業や他の職種でも活躍しています。
しかし、アクチュアリーの仕事は、全ての仕事に試験内容と同様の難易度が高い数学を使うケースが求められているわけではありません。
例えば、お客様への理解しやすい説明も、アクチュアリーの大切な仕事です。
保険会社ではお客様からの要望にお応えするために、どのようなプランを選べるか一緒にシュミレーションして、商品を分かりやすく提供することが必要です。その際、論理的な話し方をするなら説得力が増し、お客様からの信頼が得られます。
一例として、保険のデータサイエンスで、因果関係を説明できると、お客様との契約がスムーズに進むかもしれません。
お客様との良いコミュニケーションをとりながら、納得のいく理解しやすい説明が求められます。そのためには、文系の論理的な思考や話し方がとても役立ちます。
アクチュアリーは、経営陣と関係者との分かりやすいコミュニケーションも必要です。 経営陣への報告や、データの分析、モデル化したことなどを、伝わりやすくまとめて話すことができます。
コミュニケーション能力は、お客様への説明も上司への報告等も高く評価されます。
これらの能力は、むろん就活においても見られます。就活生の方は、アクチュアリー就活特有の選考にも惑わされず、突破するための対策が必要です。
文系の得意分野を活かす
文系の方は、知識を取り入れる事が得意なため、知識量が豊富かもしれません。試験勉強の時に蓄えた知識はアクチュアリーの仕事で活かせます。今後も、常に経済など最新の情報に通じていることは有利になり、アクチュアリーの仕事に役立てられます。
他にも、英語などの語学力は、貴重な存在として評価されます。海外の最新の文献やデータを分析して活用することもあるためです。
説明をする
先程述べたのと同様に、アクチュアリーにとっては、お客様にとって満足して頂ける説明をすることも仕事です。
文系の方は、知識とデータから論理的な説明をすることが得意なため、話に説得力が増します。保険会社なら、1人1人に合った商品を提供するために、お客様との良いコミュニケーションをとりながら、信頼できるアドバイザーとして活躍できます。
判断力
時には、お客様の要望にお応えできない場合もあるかもしれません。その場合でも、お客様個人と全体とを見た総合的な判断をすることができます。その際、お客様へは丁寧で説得力のある説明をすることが必要で、代替案としてデータ等から別の案を提供することもできます。
お客様1人に提供する保険の商品のために、多くのデータ量からニーズに応えられる結論へ導けるよう、アクチュアリーには判断力も必要です。
まとめ:アクチュアリーは文系でもなれる
アクチュアリーは、理数系のイメージが強い仕事です。高度な数学を用いる、数理のスペシャリストですので、アクチュアリーは文系でもなれるのかという疑問を持たれる方もおられたかもしれません。
しかし、結論として、アクチュアリーは文系の方でもなれます。実際に、多くの文系の方がアクチュアリーとして活躍しています。
アクチュアリーは、理数系の方が多いのは確かですが、その中で文系の方は得意分野を発揮して貴重な存在となっています。
試験勉強の時から、暗記や論理的思考を用いて問題を解くことも得意分野としてできます。モチベーションの維持や勉強時間の確保などは、文系も理数系も同様に調整や努力の必要な分野です。
アクチュアリーでは、数理の分野の他にも評価される部分があります。お客様や経営陣との会話の際、論理的なコミュニケーション能力を用いて、円滑に仕事を進められるという点です。文系の方が得意とする部分で、高く評価されています。
これから、アクチュアリーの資格に興味を持たれている文系の方には、アクチュアリーの仕事には文系の得意分野が必要とされていることを知って頂き、資格取得を検討してみることをお勧めします。
以下の記事では、文系理系問わず、アクチュアリー就活について詳しく解説をしています。
しかしどうしても、文系の方は理系の方に比べて、まわりにアクチュアリー就活生が少ないことに悩みがちです。情報交換ができない、モチベーションを高めあえる仲間がいないといった悩みは、理系に比べて文系の方が大きくなってしまいがち。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。就活応援しております!