アクチュアリーの年金数理をどのように対策すればいいのかわからない
どんな参考書を使えば、効率的に勉強できるの?
年金数理を最短の時間で勉強できるようにしたい
そんなお悩みにお答えするのがこの記事です。
アクチュアリー試験の年金数理は、最も難易度が高い科目です。
それをどう攻略すればいいのかわからない方もいるでしょう。そこで今回の記事は、年金数理の勉強方法について紹介していきます。
年金数理科目の特徴
まずはアクチュアリー試験における年金数理科目の特徴について、紹介しましょう。
アクチュアリーの一次試験は、全部で以下5科目あります。
・数学
・生保数理
・損保数理
・年金数理
・会計・経済・投資理論(KKT)
今回取り上げる「年金数理」は、主に企業年金制度の運営で必要になります。
「生保数理」と内容的に重なるところがありますが、年金数理の問題には癖があります。長い問題文を読み解きながら、しっかりと文章を数式に訳していくことが必要です。
文章が複雑なので小問に頼ってしまいそうになりますが、小問も他の科目に比べて難しい割合が高いです。
教材が少ないこともあり、教科書の章末問題が試験にほとんどそのまま出ることもあります。生保同様に、教科書を読む重要性が高い科目です。
年金数理の合格率
年金数理の合格率は、どの程度なのでしょうか。
H30 | H29 | H28 | H27 | H26 | |
数学 | 13.0 | 10.3 | 19.7 | 20.2 | 26.5 |
生保数理 | 12.8 | 26.2 | 10.6 | 14.0 | 10.2 |
損保数理 | 23.5 | 13.7 | 13.2 | 20.5 | 22.6 |
年金数理 | 35.2 | 16.4 | 16.6 | 18.5 | 10.2 |
会計・経済・投資理論(KKT) | 14.1 | 19.0 | 17.2 | 46.1 | 22.0 |
見てわかるとおり、平成30年に合格率が格段に上がっておりますが、その他の年は、低い水準になっています。
年金数理は、受験する母集団が、生保数理に合格した人たちメインです。にもかかわらず、低めの合格率を保っています。他に比べて、なかなか合格しにくい科目です。
ちなみに、H30はビッグウェーブといわれるような年で、各科目についてたまにこういう年があります。単純にその年に受験するだけで合格できたりするので、毎年受け続けることが大事です。年金数理は、生保数理同様に難易度の調整が難しいため、難易度が大きくぶれることがあります。(30%台はなかなかありませんよね)
以下のように、Twitterでも年金数理が難しいことがわかるツイートがよく見られます。
このようにSNS上でも、年金数理はアクチュアリー試験の中でも最も難しいと言われています。
合格するにはしっかりとした勉強時間とそれなりの方法が必要です。
年金数理合格に必要な勉強時間
ここまではアクチュアリー試験の合格率を紹介してきました。年金数理は他の科目に比べても、なかなか難易度が高いことをお分かりいただけたと思います。
では、他の科目よりも難易度の高い年金数理を合格するためには、どれぐらいの勉強時間が必要なのでしょうか。
一般的にアクチュアリー試験のそれぞれの科目における必要勉強時間は、200時間必要だと言われています。年金数理も例外ではありません。何故かと言うと、専門性が高く、試験としての難易度が高いためです。
200時間あれば勉強できると言われていますが、300時間勉強しなければ通らなかったというケースもあります。つまりは200時間以上はもちろんのこと、300時間近く「年金数理」と向き合わなければ、合格できないという覚悟が必要です。
ちなみに、生保数理の知識さえあれば、20点ほどは取ることができます。なので、生保をしっかりと勉強してから年金を受けたほうがいいです。(そもそも、年金の勉強は生保の知識をベースにしてすすむ部分も大きいです)
難しい試験なので、学力をペースしながら毎年受けていく覚悟を持ちましょう。必要な知識は多くはありませんが、文章を読む読解力スキルが1次試験の中では一番求められます。(KKTは、どちらかといえば数学チックな内容も多い)
効率的に勉強して点を取るための3つのコツ
ただ単に勉強していたら300時間どころか、もっと時間かかるかもしれません。以下に紹介するコツを意識しながら、効率的に勉強して点が取れるようにしましょう。
コツ1.教科書や参考書の内容を完全に理解する
コツ2.過去問を解きまくる
コツ3.1年で合格しようと思わない
それぞれの内容を詳しく紹介していきましょう。
教科書や参考書の内容を完全に理解する
まずは教科書の内容を全て理解することが重要です。過去問を解くよりも、教科書の内容を理解することに専念しましょう。そうしなければ、過去問解いたところで解ける問題がないため、意味がありません。
過去問は教科書や参考書で地力をつけた後に行うべきものと割り切って、まずはそれらの理解を進めていきます。
過去問を解きまくる
アクチュアリー試験全体に言えることですが、過去問は最重要です。
教科書や参考書の内容を完全に理解できたら、あとは応用力をつけるだけです。過去問をどんどん解いていきましょう。解いていくと教科書の内容だけではうまく対処できない問題が出てきます。
当然、実際の試験本番でもこのような問題が出てくるでしょう。そのような問題に対する応用力をつけていくために、過去問をどんどん解いていくのです。何度も何度も解いて、解けなかった問題が1問もないようにレベルまで落とし込んでいきましょう。
1年で合格しようと思わない
どんなに勉強を進めたとしても、試験に落ちてしまう事はあります。だからこそ「1年で合格をしない前提」で勉強を進めてみてください。先ほど紹介した通り、どんなに合格率が良い年でも合格率30%になるのが実情です。つまりは10人受けたら3人しか通らないわけです。
自分だけはこの3人の中に入れると思わないほうがいいでしょう。1年目もしっかりと勉強してテストに臨むことが重要ですが、1年目に受けるテストはテストの雰囲気や状況を経験するための勉強ととらえ、2年目以降が本番と考えて勉強進めていたほうがいいです。
「年金数理」科目をするうえの「よくある質問」
最後に年金数理科目を攻略する上で、よくある質問を紹介しておきます。
使うべき教科書とは?
アクチュアリー試験には、指定された公式の教科書があり、年金数理も存在します。
1次試験は教科書内容に出題範囲が限定されます。このため、公式の教科書を使って勉強をしていきましょう。
教科書名は「年金数理」(日本アクチュアリー会)(平成27年3月改訂版)です。これを使えば、最低限知識は身につきます。
計算ミスが多い・計算が遅い
電卓を2こ使いましょう。
これは、メモリーを2台分使えるからです。
アク試験を受けた人ならわかると思いますが、計算過程のメモにわざわざ紙を使うのって面倒くさいものです。0と6の書き間違えをする可能性もあります。
そこで、デジタルな電卓に頼るというわけです。片方をメインの計算用にし、もう片方を途中式の処理用、メモ用に活用します。
そのほうが、1台で複雑なコマンドを使うことなく、短時間で計算を済ませられます。
試験までのスケジュール は?
年金数理をクリアしたいなら、他の科目とのバランスをとりつつ、勉強する必要があります。
まず数学をある程度勉強しましょう。「生保数理」「損保数理」「年金数理」へ応用できるため、真っ先に取り組むと良い科目です。
数学にある程度時間を費やして理解ができたら、真っ先に年金数理に手をつけましょう。
先に解説した通り教科書をベースに理解を進め、教科書に書いてあることが全て理解できたら、過去問対策に入ります。
先に書いた通り、200時間以上は勉強時間が必要ということを頭に置き、逆算しつつ学習時間を確保してください。
年金数理で使うべき参考書は?
「年金数理」のおすすめ参考書は「年金数理 (アクチュアリー数学シリーズ)田中周二 (著), 小野正昭 (著), 斧田浩二 (著)」です。
年金数理の科目が分かりやすく記載されているため、導入におすすめの一冊です。
まとめ
今回はアクチュアリー試験における年金数理の勉強方法について紹介しました。
教科書をベースにしっかりと学習を進めていけば、合格できるはずです。
近道は無いため、およそ200時間勉強する覚悟を持って、日々の時間を捻出していきましょう。